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オアシスがなぜ国民的バンドとなったのかが分かる名盤『モーニング・グローリー』

オアシスについて思うことは、なぜこんなに世代を越えて響く、普遍的な“いい曲”が書けるかということ。そして、どんなに広い空間であろうが、すっぽり覆ってしまうようなエナジーとスケール感のあるサウンドが素晴らしいということだ。普遍的ということについては、全世界で2300万枚を売り上げ、UKアルバムチャートで累計10週もの1位を獲得したオアシスの出世作『モーニング・グローリー』は文句なしの名盤である。とにかく全曲、キャッチーなオアシス節。洋楽をあまり聴かない人でも入りやすく、巨大なスタジアムでシンガロングがわき起こる光景が容易に想像できるナンバーがパッケージされている。

世界中のキッズに希望と勇気を与えたダサかっこいいバンド?

 オアシスはデビュー当初からイギリスの匂いがプンプンするバンドだった。“ビートルズの再来”と評されてもいたが、メロディー自体がUKロックの王道なのである。日本だと哀愁のあるちょっとウェットなメロディーがウケるのと同じように、その国の風景や気質に馴染む旋律というのは必ずある。彼らの曲を聴いた第1印象は直球ど真ん中のボールを投げるバンドだなということだった。2009年の解散の理由にもなったノエル&リアム・ギャラガー兄弟の度重なる人騒がせな喧嘩や、ライバルバンド、ブラーを始めとする他のアーティストへの罵詈雑言、素行の悪さのエピソードはあまりにも有名なので、ここでは触れないが、今、思うのは“オアシスがどれほど多くの若い世代に夢を与えたのだろう?”ということだ。労働者階級で家庭的にもやさぐれた環境に育ち、学校でも問題児、サッカーに行けば暴れまくる兄弟が、バンドという表現手段を手に入れたことでイギリスのみならず世界中が注目するロックスター(という形容にはほど遠いジャージファッションだったが)になっていくのだからーー。

 もちろん、1960年代にも1970年代にも労働者階級からスター街道を驀進したバンドはたくさんいたが、オアシスが登場した1990年代はイギリスのバンドが低迷していた時代である。そんな中、家からそのまんま出てきたような出で立ちで楽器をかき鳴らし、パフォーマンスもせずに腕を後ろに組んでマイクに向かって歌うオアシスは、隣に住んでるガラの悪い兄ちゃんそのもの。ビートルズのようにアイドル性を兼ね備えていたわけでもなく、噂は芳しくないものばかり。にもかかわらず、音楽の力で成り上がったのである。「俺もいい曲を作ればオアシスみたいになれるかも」、「スタジアムバンドになれるかもしれない」…そう思ったのはイギリスのファンだけではなかっただろう。話は飛ぶが、オアシスが1994年にデビューしてから15年近く経ったある日、コンビニエンスストアから流れてきた彼らの曲を聴いて懐かしさと同時に胸が締め付けられ、このバンドは本当に後世に残る名曲を残したんだなと感じた。

アルバム『モーニング・グローリー』

1994年にリリースされ、UKチャートの1位を獲得した1stアルバム『オアシス』と並んで名盤と評される2ndアルバム。2曲目に収録されているシングル「ロール・ウィズ・イット」とブラーのシングル「カントリー・ハウス」の発売日が同じだったことで、オアシス VS ブラー対決が過熱し、ブラーが勝利するのだが、アルバム自体はオアシス空前のヒットを記録することになった。ライヴで盛り上がりまくる「ワンダーウォール」「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」「シャンペン・スーパーノヴァ」などオアシスの代表曲が詰まったアルバムでもあり、ベスト盤だと言われたら信じてしまいそうなほどのクォリティーの高さ、メロディーの強さを誇る。ドラマーがそれまでのトニー・マッキャロルからアラン・ホワイトに代わり、サウンドが強化された作品でもある。呼吸するみたいに苦悩することなく曲を生み出しているのではないかとすら思わせるノエルの作り出す楽曲、リアムのヴォーカルのクセになる心地良さ、ムダのないダイナミックで広がりのあるサウンドに身を任せていると「腐っていても仕方ない。明日はいいことあるかも」というシンプルな気持ちにさせられる。そして、このアルバムは、シャッフル状態でどの曲から聴いても楽しめる。オアシスがなぜ国民的バンドとなったのかが速攻で伝わる一枚だ。

  • minp!音楽ニュース(2015年04月03日)
  • 制作協力:okmusic UP's