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黒夢史上最高のツアー『毒と華』が終幕

2014年7月から始まった黒夢のラスト・ロング・ツアー。全国各地でいとおしい時空を積み重ねてきた彼らのライブもついに最終章を迎えた。

〈TOUR 2014-2015 BEFORE THE NEXT SLEEP VOL.2 『毒と華』〉の2月7日と8日の岐阜 club-G公演。そして、ツアー・ファイナルである2月9日の名古屋 Zepp Nagoya公演。3夜連続でオーディエンスの前に広がった鮮やかな景色は、永遠に忘れられぬものとなった。

2月7日、岐阜club-G。出入口付近にまで膨らんだ超満員の観客がステージを見つめる中、午後6時10分頃、このツアーでお馴染みとなったSE「ZERO」が鳴り響く。サポートメンバーのK-A-Z (G)とYOUTH-K!!! (Dr)に続いて、大歓声に包まれながらベースを構える人時。そして、このライブハウスの空気を確かめるように、ゆっくりと舞台中央に歩み出る清春。彼らのゾクゾクするようなシルエットに見とれているうちに、「I HATE YOUR POPSTAR LIFE」が炸裂した。

黒夢の出身地である岐阜県での公演ということもあり、この夜の観客はいつにも増して気合いが入っていた。「場所を楽しんでください」という清春の言葉をしっかりと受け止め、ここまで各地で紡いできた思い出を確かめ合うように音楽を浴びていたのが印象的だった。

充実の演奏に聴き惚れているうちに、黒夢と共有する時間の駆け抜け方がいよいよ尊くなっていくのがわかる。たとえば、「SOLITUDE」「黒と影」「ゲルニカ」の流れは情感たっぷりの仕上がりを見せており、ツアーの中で楽曲が成長していくことの醍醐味に気づかされた。多様なアプローチで仕掛ける人時のベースソロは大胆にフロアを揺らし、「Reverb」から「Sick」に至る本編後半の快楽を高めていた。

アンコールの1曲目は「Glass Valley’s Oar」。この曲の深みと余韻に浸るうちに、続いて流れてきたのは「優しい悲劇」のイントロだ。2015年の”二月の色”を刻み込むかのような選曲にオーディエンスは沸いた。

4度にわたって披露されたアンコール曲の数々は、このライブが終わってほしくないと願う瞬間の連続だった。清春はこう言っていた。「解散するわけではありません。黒夢は、います。この5年間で作った2枚のアルバムが、“あの時こうだった”とみんなの中で再生されることを望んでいます。僕らが新しい曲を作ったことが未来への足掛かりとなればいいと思います。明日とZepp Nagoya、何も考えずに夢中になってください。僕は夢中になってくれてる人の顔が大好きです」。

「BEAMS」と「Like @ Angel」でオーディエンスへの感謝と愛を叫んだ黒夢。終わってみれば、3時間50分の公演だった。清春は去り際に「最後まで見ていてください。見守っていてください」と語りかけた。お互いを讃え合う清春と人時の背後の「KUR OUR KINGDOM」の文字が光り輝いていた。

2月8日、岐阜club-G。同会場での2夜連続公演の2日目。定刻を少し過ぎた午後6時15分頃、暗転した静かな空間で、まずは人時がアコースティック・ギターを手に取る。清春が温かい歓声を受けて登場し、奏でられたのは「NITE & DAY」。歌詞とメロディに新たな生命が吹き込まれるかのようなアレンジは、聴く者すべてを幸せにした。続く「BLOODY VALENTINE」からはサポートのK-A-Zも交え、黒夢の楽曲の奥深さを印象付ける多様なアプローチが展開された。この夜は前半の9曲でアコースティック・セットが披露されるという趣向。たとえば、「少年」「MARIA」の染みるような演奏を聴いた直後に、前日とは異なった角度から「ゲルニカ」を味わえる贅沢な時間だった。

「A LULL IN THE RAIN」以降はサポートドラムのYOUTH-K!!!も加わり、エレクトリック・セットへ。「奴隷」「Let’s go down the street」等、VOL.2『毒と華』の各地での記憶が蘇る曲が続き、オーディエンスの伸ばした手が美しい「ミザリー」で本編は幕を閉じた。

数分後、場内の空気を切り裂くような「解凍実験」がアンコールの始まりを告げる。ステージ上の清春と人時の表情には、この夜の興奮がまだまだ長く続くことを予感させる凄味が宿っている。4度のアンコールのハイライトは「KINGDOM」。オーディエンスとともに“王国を揺らす”この曲には現在の黒夢のすべてが詰まっている。その輝かしい光景には思わず息を呑むほどだった。「さっきのKINGDOMでツアーは成功したなと思いました」。そう語る清春にかつてない歓声と拍手で応える観客。「明日はとにかく、かっこよく区切りをつけたいなと思っています。皆が思う“かっこいい”と僕らの思う“かっこいい”がなるべく近いといいなと思います」。

「BEAMS」で岐阜の夜が幕を閉じた頃には、時計の針は午後10時前を指していた。「明日は僕らと皆で、僕らの王国を揺らしましょう」。club-Gの隅々にまで清春の声が響き渡った。

2月9日、名古屋 Zepp Nagoya。会場周辺は、時折雪の舞う、凍てつくような寒さだった。2014年から2015年の半年間にかけて黒夢が続けてきた最後の長い旅の終わり。デビュー20周年の頂点ともいえるこの日のライブは、当然のようにぎっしりと人で埋め尽くされている。

午後7時を5分ほど回った頃、このツアー最後のSE「ZERO」が鳴る。声にならない声に熱狂的に迎えられた黒夢のメンバーたち。清春の「名古屋ー!」の一言を合図に「I HATE YOUR POPSTAR LIFE」で空間はひとつに束ねられた。1曲1曲の過ぎ去り方がこんなにも速いライブはない。この日22回目のデビュー日を迎えた黒夢に対して、曲が終わるごとに感謝と歓喜の声が捧げられていたのが印象深かった。

「50本目。今日がファイナル。とても待ち望んでいたような、来てほしくないような……今、楽しいですよ!」そう語る人時は充実の表情を浮かべていた。「MAD FLAVOR」「MIND BREAKER」と立て続けに気持ちよく揺れた後に「C.Y.HEAD」「Sick」で最高潮の熱気に包まれる。別れを惜しむ間もないくらいにあっという間の本編だった。

アンコールに突入したが最後、この興奮は増すばかり。特に「解凍実験」「カマキリ」「後遺症 -aftereffect-」の殺傷力の高さには目を見張った。攻撃的な曲がフロアに放たれる一方で、オーディエンスひとりひとりに寄り添うような歌の素晴らしさにも感服した。「アロン」と「ミザリー」で広がった光景はただただ美しい。清春は、天国にいる友人の東條(雅人)さんが黒夢再結成後の5年間を全肯定で見て応援してくれてた筈、きっとこのラスト・ロング・ツアーにも全部来てくれていた筈と観客に語りかけた。

「50本、とてつもなく、ひたすら、最高でした。黒夢史上最高のツアーだったと思います。黒夢史上最高の長い旅だったと思います。ありがとう。ありがとう。ありがとう。ありがとう。人時と清春でした。そして、今日まで黒夢でした」。この言葉に彩られた「SEE YOU」と「BEAMS」は、鮮やかに彼らの旅のクライマックスを照らした。

ここまで既に5度のアンコールを披露した黒夢だが、ここで終わる彼らではない。清春は語る。「生涯僕は人時くんを見てると思いますし、彼も死ぬまで僕を見てくれると思います。僕らの再結成は真実でした。最も美しい再結成だったと思います」。6度目のアンコールにして、最後の曲「Like @ Angel」の大合唱がZepp Nagoyaを支配する。オーディエンスは感情を剥き出しにして、黒夢とともに歩んだ旅の想いを炸裂させる。約4時間の最終夜。ラスト・ロング・ツアーの終着点にふさわしい光景だった。

「名古屋ー!皆、仲間です。できれば手つないで」と優しく微笑む清春。その声に応えた会場の全員が幸せな顔をしていた。「ありがとう。皆、仲間だからさ、争ったりとか絶対にしないで。この景色、最高です。一生忘れません」。

サポートのK-A-ZとYOUTH-K!!!からデビュー20周年記念のケーキが運び入れられる。清春と人時がぎゅっと寄り添いロウソクの火を吹き消す姿を見て、これからの幸せな景色を想った観客は多いことだろう。場内が再び暗転して、「アロン」が鳴る。誰もいなくなったステージに天使の羽が降り積もる。その場から離れずに歌い続けるオーディエンスには確かな未来が約束されている。黒夢と歩む新たな一日は既に始まっているのだ。

TEXT:志村 つくね
PHOTO:今井 俊彦、森 好弘

【セットリスト】

■2015年2月9日 Final Zepp Nagoya
01. I HATE YOUR POPSTAR LIFE
02. CLARITY
03. A LULL IN THE RAIN
04. heavenly
05. LOVE ME DO
06. LET’S DANCE
07. SOLITUDE
08. 黒と影
09. ゲルニカ
〜BASS Solo〜
10. Reverb
11. STARLET
12. MAD FLAVOR
13. MIND BREAKER
14. C.Y.HEAD
15. SICK
<ENCORE 1>
16. 解凍実験
17. カマキリ
18. 後遺症
<ENCORE 2>
19. HELLO,CP ISOLATION
20. SUCK ME!
21. CANDY
<ENCORE 3>
22. 優しい悲劇
23. アロン
<ENCORE 4>
24. ミザリー
25. 棘
26. for dear
27. Miss Moonlight
<ENCORE 5>
28. SEE YOU
29. BEAMS
<ENCORE 6>
30. Like@Angel

  • minp!音楽ニュース(2015年02月13日)
  • 制作協力:okmusic UP's