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黒夢、天国の扉を叩き続けた4時間超の至福の岡山公演

去る7月から『夢は鞭』をキーワードに掲げながら展開されている黒夢の全国ツアーも、“VOL.1の佳境”に近付いてきた。9月25日に予定されていた広島公演は、めずらしく清春の喉の不調を理由に来年3月へと延期となったが、続く同27日の岡山公演ではコンディションも復調し、無事に通常通りのライヴを敢行。そして今年も、9月28日が巡ってきた。

彼らの動向をずっと注視してきたファンには説明するまでもないはずだが、この日は、彼らとずっと長きにわたり親密な関係にあった東條雅人氏(『FOOL’S MATE』誌元編集長)の命日にあたる日。東條氏が急逝したのは2009年のことで、翌年から毎年、清春はこの日もしくはその前後に、氏の郷里である岡山のライヴハウス、CRAZY MAMA KINGDOMのステージに立っている。2010年と2011年にはsads、2012年にはソロ名義での公演が行なわれ、2013年の同じ日には、復活後の黒夢として始めての岡山公演がついにこの場所で実現に至っている。

それからちょうど1年を経て、ふたたび黒夢が同じ場所に立つことになったわけだが、過去4年の岡山公演との違いは、従来のそれが『EVERLASTING TRUTHS』と銘打ちながら他の通常のライヴとは名義上も差別化されていたものだったのに対し、今回はあくまで「TOUR 2014 BEFORE THE NEXT SLEEP VOL.1『夢は鞭』」の一環としてのライヴとされている点だ。その点について当日の開演前に清春に尋ねてみると「もう敢えてそう銘打たなくても、みんなわかってるかなと思って」という回答が返ってきた。実に彼らしい発言だが、そこには「20周年のツアー、しかも黒夢として最後になるであろうロング・ツアーにおける1本として岡山を訪れたかった」という気持ちが透けて見える気がする。なにしろ昨年の岡山公演は、結果的に黒夢としての2013年最後のライヴになっている。黒夢そのものの状況が、まるで違っているのだ。その充実した状態を誰よりも見せつけたかった対象のひとりが、他ならぬ東條氏であったはずなのだから。

場内が暗転したのは開演予定時刻の18時を10分ほど過ぎた頃。ずっと定刻開演が続いてきた今回のツアーで初めての“10分押し”となった。オーオプニングSEに導かれて、最初に炸裂したのは「FAKE STAR」。プラチナ・チケットを手に入れた強運なファンに埋め尽くされた場内は、その時点ですでに加熱状態にある。序盤の6曲ほどが終わったところで清春は客席に「今夜は(みんな)、帰れないことになると思います」と告げて長い夜になることをほのめかし、さらには「ツアー・ファイナルの気持ちでやります」と言い放ってみせた。

結果、演奏曲目は度重なるアンコールを含めて全34曲にも及び、最後の最後、「Like@Angel」が着地点を迎える頃には、開演から4時間以上が経過していた。実際のところ、あからさまに特殊なプログラムが組まれていたわけではない。が、ライヴ本編の前半で「REASON OF MYSELF」と「Reverb」がアコースティックで披露されたこと、その2曲に続いて演奏された「SOLITUDE」から感じられた情感の色濃さについては特筆しておきたい。そうした流れは前夜のセットリストには含まれておらず、敢えてこの夜の演奏メニュー上では『黒と影』からの楽曲が、その「SOLITUDE」と「KINGDOM」のみに絞られていた事実も、やはりこの公演が意味的には『EVERLASTING TRUTHS』なのだということを象徴していたように思う。

3度目のアンコールの最後にその「KINGDOM」を披露する際、清春は「きっと僕らのことをいとおしくてたまらない人が観てくれてるはずです。我々の王国を、天国に見せましょう! 王国を揺らして!」とオーディエンスに告げ、同曲の演奏中も、「届け! 届け! 届いた?」と天に呼びかけていた。5年前に召された東條氏の魂も、きっとそのさまを見守っていたに違いない。

そのアンコール時の清春のMCによれば、この時期の岡山公演開催は、5年目となった今回をもって一応の終了ということになるようだ。それは、今回の“最後のロング・ツアー”で、さまざまな土地でのラスト・ライヴを重ねてきている黒夢にとって、岡山も例外ではないということなのかもしれない。が、この特別な“約束の日”が封印されるというのは、すなわちそれ自体がわざわざ設けられる必要のない当然のもの、すなわち永遠のものとなったということなのではないだろうか。

汗まみれのオーディエンスのなかには、涙で顔をクシャクシャにしたファンの姿もあった。しかしすべての演奏が終わったとき、ステージもフロアも分け隔てなく漂っていたのは、間違っても重苦しい雰囲気ではなく、むしろ清々しい幸福感だった。余談ながら、この夜に限って使用されていた終演時のSEは、GUNS N’ ROSESの「KNOCKIN’ ON HEAVEN’S DOOR」(ボブ・ディランのカヴァー)。天国の扉を叩くノックの音は確実に、届くべき人の魂に届いていたに違いない。

TEXT:増田勇一
PHOTO:今井俊彦、増田勇一

【セットリスト】

SE
01.FAKE STAR
02.GOSSIP
03.walkin’ on the edge
04.MIND BREAKER
05.CAN’T SEE YARD
06.S・A・D
07.REASON OF MYSELF
08.Reverb
09.SOLITUDE
10.heavenly
---BASS SOLO---
11.13new ache
12.MASTURBATING SMILE
13.FASTER BEAT
14.HELLO,CP ISOLATION
15.C.Y.HEAD
16.BAD SPEED PLAY
17.IN YOUR RHYTHM
18.カマキリ
19.後遺症
20.SICK
<ENCORE 1>
21.ミザリー
22.少年
23.DRIVE
24.SPRAY
<ENCORE 2>
25.SUCK ME!
26.ROCK’N’ ROLL
27.CANDY
<ENCORE 3>
28.棘
29.FOR DEAR
30.BEAMS
31.SEE YOU
32.KINGDOM
<ENCORE 4>
33.NEEDLESS
34.Like@Angel

ライヴ情報

黒夢 The second coming of 1996 『BOYS ONLY』
11月15日(土) 名古屋ダイアモンドホール
11月19日(水)ZEPP DiverCity TOKYO
※チケット一斉発売:10月11日(土)10:00~

黒夢 TOUR 2014 BEFORE THE NEXT SLEEP VOL.2 『毒と華』
12月04日(木)郡山Hip Shot Japan
12月05日(金)盛岡Club Change WAVE
12月12日(金)京都FANJ
12月13日(土)京都FANJ
12月14日(日)滋賀U☆STONE
12月20日(土)富山MAIRO
12月21日(日)長野CLUB JUNK BOX
12月23日(火・祝)横浜Bay Hall
12月24日(水)横浜Bay Hall
12月30日(火)なんばHatch
12月31日(水)Zepp Nagoya
※12月4日(木)~12月31日(水)公演 プレイガイド最速先行受付

【チケット料金】
スタンディング:¥7,300(整理番号付、ドリンク代別途必要)
※エントリー期間 10月4日(土) 11:00 ~ 10月8日(水) 23:59
【申込み先】
http://pia.jp/t/kuroyume/
【受付方法に関するお問合せ】
チケットぴあ:question@pia.co.jp

  • minp!音楽ニュース(2014年09月30日)
  • 制作協力:okmusic UP's